症例:重症度の高い矯正治療例(重度の下顎後退症、開咬)
2019.03.07
監修
K Braces矯正歯科原宿駅前
院長 小林聡美 Satomi Kobayashi
- アメリカアラインテクノロジー社認定 インビザライン専門ドクター
- デンツプライシロナ社認定 SureSmile Advance/Orhto/Aligner 認定クリニック院長
- アラガン社認定 VST:Very Sophisticated Treatment 施注資格ドクター
都内矯正専門クリニック 院長を経て、
平成30年にK Braces矯正歯科原宿駅前院長就任。
発表論文、テレビ出演多数。
平成30年にK Braces矯正歯科原宿駅前院長就任。
発表論文、テレビ出演多数。
【目次】
重度の口唇閉鎖不全で矯正治療をご希望になりました
外科手術を行わず顎間ゴム中心の治療
患者様へのご説明、治療プランの決定
精密な治療と患者様の努力で得られた歯列
こんにちは。K Braces矯正歯科原宿駅前 院長の小林聡美です。
今回は、重度の下顎後退症と重度の開咬を持つ重症度の高い症例の治療例をご覧いただきます。
かなり重症な例ですが、できる限り患者様のご希望に沿う治療を行うことができました。
※こちらの記事は今回の患者様の事例です。実際の治療は個人差がありますのであくまで参考とお考えください。
▼こちらが治療前の患者様の横顔の写真です。
出っ歯と開咬で非常に口が閉じにくい状態です
上の写真でお分かりのように、こちらの患者さまは重度の口唇閉鎖不全(口が閉じにくい状態)です。
主な症状を以下にまとめました。
●梅干しジワ
梅干ジワ(学術的には梅干状の隆起といいます)といわれるオトガイ部のしわが認められます。
●顎なし(下顎の後退)
写真で下顎が不適切に後ろに後退していることがお分かりいただけると思いますが、このように下顎が後退していることをい一般的に「顎なし」と表現することが多いようです。
●出っ歯
上下顎前歯の前後的なズレ(出っ歯の状態)が非常に大きく、重度の開咬も併発しています。重症な不正咬合です。上下顎の骨自体の位置関係も悪く、通常であれば外科的矯正治療を行うことが第一選択となる症例です。ですが、患者様ご本人の強いご希望で、外科手術は行わず、矯正治療のみで治療を進めていくことになりました。
上下顎前歯の前後的なズレが非常に大きく、重度の開咬も併発しています。重症な不正咬合です。
▼正面から見てみます。
上顎左右の第一小臼歯を抜歯して、可能な限り前歯を後ろに下げることで、歯並びと咬み合わせの改善を行うことになりました。そして開咬の治療を行う場合に効果的な顎間ゴム(輪ゴムを上下の歯にかけて歯を動かす処置)を用いて治療を進めました。この患者さまの場合ではⅡ級ゴムと呼ばれるゴムの使用方法が主になりました。 この顎間ゴムは普段の生活で、患者様ご自身で装着して頂くものですが、これがこの度の治療のひとつの重要な役割を果たすことにもなりました。
●顎間ゴムの参考記事
当コラムで顎間ゴムの説明をしております。
矯正治療に多用される顎間ゴム(エラスティック)とは
●顎間ゴムの参考文献(サイト)
Correction of Class II malocclusion with Class II elastics: A systematic review
システマティックレビュー(質の高い複数の臨床研究を,一定の基準と一定の方法に基づいてとりまとめた総説)により、矯正治療で用いるⅡ級ゴムは効果的であることが報告されています。
こちらのご説明内容はとても重要な情報ですのでいつも掲載しています。お読みの方はぜひチェックしておいてください。
●開咬の治療の参考文献(サイト)
Stability of anterior open-bite extraction and nonextraction treatment in the permanent dentition.
開咬の治療は、抜歯により治療を行ったほうが非抜歯よりも後戻りが少ないと報告されています。
▼術後の写真です。
重度の出っ歯(上顎前突)と顎なし(下顎の後退)が劇的に改善し、とてもすっきりとした横顔を獲得することができました。
さらに梅干しジワ(梅干状の隆起)もなくなり、より審美的なアゴの形を獲得することもできました。
▼歯列を見てみましょう。
ぜひ最初に挙げた写真と見比べてください。
外科手術を行わずにここまで綺麗になったのは、患者様ご自身の努力なしではできません。
この患者様にはしっかりと顎間ゴムを使用していただけたので、上顎の前歯を目標とする位置まで後退させることができ、短い治療期間でとても良い治療結果を得ることができました。
治療期間は、1年3ヶ月でした。以下がそのおおまかな内訳となります。
デジタル矯正システムを基に適切な診断と治療方針で矯正治療を行うことで、非常に重症度の高い症例の場合でも、短い治療期間でとても効果的な治療が行えることをお分かりいただけたと思います。
重度の口唇閉鎖不全で矯正治療をご希望になりました
外科手術を行わず顎間ゴム中心の治療
患者様へのご説明、治療プランの決定
精密な治療と患者様の努力で得られた歯列
こんにちは。K Braces矯正歯科原宿駅前 院長の小林聡美です。
今回は、重度の下顎後退症と重度の開咬を持つ重症度の高い症例の治療例をご覧いただきます。
かなり重症な例ですが、できる限り患者様のご希望に沿う治療を行うことができました。
※こちらの記事は今回の患者様の事例です。実際の治療は個人差がありますのであくまで参考とお考えください。
重度の口唇閉鎖不全で矯正治療をご希望になりました
この患者様は、下顎の後方位(後退)による上顎前突と開咬の治療を希望され来院されました。▼こちらが治療前の患者様の横顔の写真です。
出っ歯と開咬で非常に口が閉じにくい状態です
上の写真でお分かりのように、こちらの患者さまは重度の口唇閉鎖不全(口が閉じにくい状態)です。
主な症状を以下にまとめました。
●梅干しジワ
梅干ジワ(学術的には梅干状の隆起といいます)といわれるオトガイ部のしわが認められます。
●顎なし(下顎の後退)
写真で下顎が不適切に後ろに後退していることがお分かりいただけると思いますが、このように下顎が後退していることをい一般的に「顎なし」と表現することが多いようです。
●出っ歯
上下顎前歯の前後的なズレ(出っ歯の状態)が非常に大きく、重度の開咬も併発しています。重症な不正咬合です。上下顎の骨自体の位置関係も悪く、通常であれば外科的矯正治療を行うことが第一選択となる症例です。ですが、患者様ご本人の強いご希望で、外科手術は行わず、矯正治療のみで治療を進めていくことになりました。
外科手術を行わず顎間ゴム中心の治療
▼治療前の口腔内の写真です。まずは横から見てみます。上下顎前歯の前後的なズレが非常に大きく、重度の開咬も併発しています。重症な不正咬合です。
▼正面から見てみます。
上顎左右の第一小臼歯を抜歯して、可能な限り前歯を後ろに下げることで、歯並びと咬み合わせの改善を行うことになりました。そして開咬の治療を行う場合に効果的な顎間ゴム(輪ゴムを上下の歯にかけて歯を動かす処置)を用いて治療を進めました。この患者さまの場合ではⅡ級ゴムと呼ばれるゴムの使用方法が主になりました。 この顎間ゴムは普段の生活で、患者様ご自身で装着して頂くものですが、これがこの度の治療のひとつの重要な役割を果たすことにもなりました。
●顎間ゴムの参考記事
当コラムで顎間ゴムの説明をしております。
矯正治療に多用される顎間ゴム(エラスティック)とは
●顎間ゴムの参考文献(サイト)
Correction of Class II malocclusion with Class II elastics: A systematic review
システマティックレビュー(質の高い複数の臨床研究を,一定の基準と一定の方法に基づいてとりまとめた総説)により、矯正治療で用いるⅡ級ゴムは効果的であることが報告されています。
患者様へのご説明、治療プランの決定
無料カウンセリングから診断を経て、患者様には丁寧にご説明をしていき、ご納得を頂けました。こちらのご説明内容はとても重要な情報ですのでいつも掲載しています。お読みの方はぜひチェックしておいてください。
診断 | 口唇閉鎖不全、上顎前歯の唇側傾斜、大きなover jet、重度の開咬と下顎骨の後退 |
---|---|
治療法 | 上下顎左右第一小臼歯の抜歯、顎間ゴムによる被蓋の改善、ハーフリンガル(上顎が裏側、下顎が表側)矯正装置による治療 |
治療期間 | 1年3ヶ月 |
治療費 | ハーフリンガル矯正 ¥1,100,000-(精密検査別) |
リスク | 治療中の虫歯の可能性、上顎前歯の歯根吸収 |
副作用 | 治療中の矯正装置による口内炎、治療後の抜歯空隙、開咬の後戻り |
●開咬の治療の参考文献(サイト)
Stability of anterior open-bite extraction and nonextraction treatment in the permanent dentition.
開咬の治療は、抜歯により治療を行ったほうが非抜歯よりも後戻りが少ないと報告されています。
精密な治療と患者様の努力で得られた歯列
●梅干しジワ、出っ歯、顎なしの改善▼術後の写真です。
重度の出っ歯(上顎前突)と顎なし(下顎の後退)が劇的に改善し、とてもすっきりとした横顔を獲得することができました。
さらに梅干しジワ(梅干状の隆起)もなくなり、より審美的なアゴの形を獲得することもできました。
▼歯列を見てみましょう。
ぜひ最初に挙げた写真と見比べてください。
外科手術を行わずにここまで綺麗になったのは、患者様ご自身の努力なしではできません。
この患者様にはしっかりと顎間ゴムを使用していただけたので、上顎の前歯を目標とする位置まで後退させることができ、短い治療期間でとても良い治療結果を得ることができました。
治療期間は、1年3ヶ月でした。以下がそのおおまかな内訳となります。
●抜歯とその後の凸凹の改善:3ヶ月
●抜歯したスペースの閉鎖:8ヶ月
●最終的な咬み合せと配列の調整:2ヶ月
デジタル矯正システムを基に適切な診断と治療方針で矯正治療を行うことで、非常に重症度の高い症例の場合でも、短い治療期間でとても効果的な治療が行えることをお分かりいただけたと思います。
今後も、今回の治療例のように医療法の広告ガイドラインに添った適切な形式で、術前術後の症例をご紹介していきたいと思っています。