特に女性の場合、誰しもが悩んだ経験があるといっても過言ではない、顔の印象を大きく左右する「ほうれい線」。写真や鏡を見て気にはなるものの、美容整形手術はできるだけ避けたいという方も多いのではないでしょうか。ほうれい線の主な原因は加齢によるものですが、実は歯並びもその見た目に影響を与えることがあるのです。
今回は、「ほうれい線と歯並びの関係」にスポットを当て、矯正治療の効果やその他の治療法について詳しく解説します。
ほうれい線とは
ほうれい線は、口角から頬に向かって存在するシワのことです。「鼻唇溝（びしんこう）」とも呼ばれるほうれい線は、主に顔の皮膚のたるみによって形成されます。
ほうれい線が形成される要因として最も多いのは、加齢による皮膚の弾力性の低下です。年齢を重ねると、肌のハリに欠かせない皮膚のコラーゲンなどの成分が減少し、皮膚の弾力性が失われてしまいます。その結果、重力によって頬の皮膚がたるみ、ほうれい線が形成されていくのです。
ほうれい線の原因は加齢だけではない？
実は喫煙や過剰な紫外線を浴びることなども、ほうれい線の原因となります。
喫煙でほうれい線が形成されるのは、タバコに含まれる有害物質が原因です。ニコチンやタールなどの有害物質は、皮膚のコラーゲンや弾力繊維を破壊する作用があります。コラーゲンは皮膚のハリや弾力を保つために重要な成分であり、その減少によってほうれい線が目立つようになります。さらに、有害物質によって血管が収縮するため、血液の循環が悪くなり、肌の代謝が低下することも大きく関係しているといえるでしょう。
そして、日光中に含まれる紫外線は、皮膚にダメージを与える主な要因です。紫外線は皮膚のコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌のハリや弾力を低下させます。特に顔や首の部位は、過剰に紫外線を浴びることでほうれい線が目立つ可能性が高まります。
他にも、骨格や肌の厚みなどの遺伝的な要因もほうれい線の形成に影響を与えることがあります。 例えば、家族にほうれい線ができやすい傾向がある場合、自身も同様に影響を受ける可能性があるということです。骨格の場合は頬骨が突出していることで、肌が薄い場合は紫外線や乾燥の悪影響をより受けやすいことが原因で、若い年齢でもほうれい線が目立ってしまうケースがあるとされています。
ほうれい線と歯並びは関係がある？
ほうれい線は、歯並びと直接的な関係はありません。しかし、中には歯並びや噛み合わせの問題によって、年齢に関わらずほうれい線が目立ってしまうことがあります。
例えば、噛み合わせが悪い重度の出っ歯や受け口などの不正咬合の場合、咀嚼がうまくできないことから、食事の際に十分に噛まない癖が定着してしまいがちです。
咀嚼をあまりしないことで、頬骨に繋がっている咬筋が衰え、頬のたるみやほうれい線が強調される可能性があるとされています。 また、ほとんどの不正咬合で見られる口呼吸もほうれい線に繋がることがあります。口を開けた状態での呼吸が続くと、唇を閉じる時に働く「口輪筋（こうりんきん）」という筋肉が衰えてしまいます。口輪筋は、頬筋などの表情筋と繋がっている重要な筋肉です。この口輪筋が衰えることで、皮膚がたるんでほうれい線が目立ったり、口角が下がったりするリスクがあるのです。
ほうれい線が目立ちやすい歯並び
噛み合わせに関係なく、ほうれい線が目立ちやすいとされている歯並びは、主に上の前歯が前方に突出している重度の出っ歯（上顎前突）と、上下の歯が前方に突出している口ゴボ（上下顎前突）です。
出っ歯や口ゴボは、上顎の歯列が前方に突き出ています。これにより、鼻の下である人中から上唇が皮膚ごと前に押し出されるため、境目となるシワが強調されてほうれい線が目立ちやすくなるのです。
ほうれい線は加齢や生活習慣によっても深くなりますが、出っ歯や口ゴボのような、ほうれい線付近の脂肪や皮膚などの組織に影響を与える歯並びの場合、それがより目立つ可能性があります。
歯列矯正でほうれい線が改善される？
歯列矯正がほうれい線の改善に効果があるかどうかについては、明確な科学的根拠はありません。ほうれい線の形成は、歯並びだけでなく、顔の筋肉の使い方や皮膚の老化など、さまざまな要因によって引き起こされるためです。
ただ、顔のバランスや筋肉の使い方に悪影響を与える不正咬合の場合、歯列矯正によって噛み合わせや歯列を改善することで、ほうれい線の見た目に一定の改善が見られることがあります。これは、表情筋や咀嚼筋などの顔の筋肉が、治療によって正常に機能するようになるためです。
前者の表情筋は、笑顔や口角を上げるなどの動作に使われる筋肉です。表情筋が使われていないと、顔の皮膚が引き締まりにくくなり、特に目元のシワや口元のほうれい線が目立ちやすくなります。
一方、咀嚼筋は主に食べ物を咀嚼する際に使われる筋肉です。この咀嚼筋が衰えることによって頬がたるみやすくなり、ほうれい線の原因になることがあります。
矯正治療は歯列を綺麗に並べた上で、しっかりと噛むことができるようにする治療です。よって、治療後は歯並びが良くなったことで笑顔が増えたり、噛み合わせの改善で食べ物をしっかり噛むことができたりすることも多いため、上記の表情筋や咀嚼筋が適切に働くようになることがあります。
つまり、矯正治療によって顔の筋肉が正常に機能することで、ほうれい線の目立ちやすさが軽減されるケースもあるということです。
しかし、ほうれい線の改善には個人差があり、歯列矯正が直接的な効果を持つわけではありません。いずれにしろ、「矯正治療でほうれい線が消えたり、劇的に改善されたりしない」ということは頭に入れておきましょう。
ほうれい線の改善を目的として歯列矯正を考えている場合には、矯正治療だけでなく、皮膚のケアや美容整形なども一緒に検討することをおすすめします。
ほうれい線を第一に治したいと考えている方に最も重要なのは、自身の状態や希望に合った治療法を専門家と相談し、適切な方法を見つけることです。
反対に矯正治療でほうれい線が濃くなることは？
一般的に、矯正治療によってほうれい線が濃くなるということはありません。歯列矯正は、主に歯並びや噛み合わせの改善を行う治療であり、ほうれい線に直接的な影響を及ぼすものではないためです。
ただし、治療方法によっては治療前よりもほうれい線が目立つように見えるケースもあります。
例えば、前歯を下げる必要のない方が抜歯矯正をした場合、歯を後退させすぎてしまうことで口元が過度に引っ込み、老けた印象になることがあるのです。ただ、治療前の適切な治療計画によってこのリスクは回避できるため、抜歯矯正だからと言って必ずしも起こることではありません。
また、まれにですが突出していた上の前歯を正常な位置に下げると、これまであまり目立っていなかったほうれい線がはっきりとするケースもあります。しかし、この場合は口元の出っ張りにより目立ちにくかったほうれい線が、出っ歯を解消したことで本来の姿に戻っただけと考えられるため、矯正治療によって形成されたとは言えません。 このように、歯列矯正は通常ほうれい線に直接的な影響を与えるものではないものの、治療方法や個人の状況によって口元の見た目が変わることがあります。よって、矯正治療をする際には、適切な治療計画と矯正医のアドバイスを受けることが大切です。
ほうれい線の治療法
美容整形
ほうれい線の主な治療方法としては、以下の美容整形が主となります。皮膚に直接アプローチすることから、効果が高いのが特徴です。
ボトックス注射
筋肉を一時的に弛緩させる効果があるボトックス注射は、ほうれい線の改善にも使用されます。ボトックス注射の作用で筋肉の動きを制限することで、ほうれい線が目立たなくなることがあります。しかし、効果は一時的であるため、持続させるには定期的な施術が必要です。
ヒアルロン酸注入
ほうれい線の美容整形として最もポピュラーなのは、ヒアルロン酸注射による治療です。ヒアルロン酸は皮膚のボリュームを増やす効果があり、これをほうれい線に注射することでシワを目立たなくする効果があります。ヒアルロン酸を注入することでほうれい線が改善されることがありますが、ボトックスと同様に効果は一時的です。
レーザー治療
レーザー治療は皮膚のコラーゲンを刺激することで肌を引き締め、しわやたるみを改善する治療方法です。レーザー治療により、ほうれい線が薄くなることもありますが、効果には個人差があります。よって、レーザー治療では必ずしもほうれい線を改善できるわけではありません。
フェイスリフト
フェイスリフトはほうれい線やたるみを改善する、手術的な治療法です。皮膚を直接引き上げることで、たるみによって形成されたほうれい線を改善することができます。ただし、手術時のリスクや一定期間のダウンタイムがあるため、検討する際には注意が必要です。
歯列矯正
歯列矯正は、ほうれい線に直接アプローチする治療ではありません。ただ、特に重度の出っ歯や口ゴボの場合は口元のバランスが整い、ほうれい線の目立ちが軽減される可能性があります。
現在は装置も大きく進化し、白く目立ちにくい表側ワイヤー矯正をはじめ、正面から装置が見えない裏側ワイヤー矯正や、取り外しのできるマウスピース矯正まで、大人でも抵抗感の少ない矯正装置を用いた治療が可能です。
ただし、矯正治療により必ずしもほうれい線が改善できるという保証はないため、治療の選択は慎重に行いましょう。
まとめ「出っ歯や口ゴボでお悩みの方は歯列矯正も選択肢の一つに」
ほうれい線の適切な治療方法は、個々の症状やご希望内容によって異なりますので、矯正治療と美容整形、一概にどちらがベストと断言することはできません。美容整形手術にはリスクや永続性の問題があり、また同様に矯正治療も確実性がなく時間がかかるというデメリットがあります。
だからこそ、自己判断だけでなく、矯正医や美容外科医などの専門家と相談し、自身に合った最適な治療方法を見つけることが非常に重要です。
K Braces矯正歯科では、ほうれい線に影響を与えやすいとされている、出っ歯や口ゴボなどを改善するための矯正治療をこれまで数多く行ってきました。 幅広い治療装置と独自の3Dデジタル矯正システムで、患者さまの魅力的な笑顔を引きだすための理想的な治療プランをご提案いたします。歯並びや噛み合わせでお悩みの方は、随時受付中の無料カウンセリング、または歯科用CT撮影が可能な有料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。
