歯並びが悪いまま治療終了?「あまり知られていない格安矯正3つの落とし穴」 – 歯列矯正をする前に知っておきたいこと

【要注意】歯並びが悪いまま治療終了?「あまり知られていない格安矯正3つの落とし穴」

頭を抱える女性 トラブル対応
監修者
クリニック院長:小林 聡美
K Braces 矯正歯科 原宿駅前

◆略歴
・北海道医療大学 卒業
・Tweed Foundation Pre-Tucson Couse 修了
・Aesthetic Prosthodontic Preparation Practice Course 修了
・Invisalign Training Course 修了
・CLEARii Invisalign Methodology Course 修了
・Dental Health Association Prosthodontics Course 修了

都内矯正専門クリニック院長を経て、平成30年に「K Braces矯正歯科 原宿駅前」院長就任。発表論文、テレビ出演多数。
iTERO(口腔内3Dスキャナー)を日本における矯正専門クリニックで初導入。iTEROを用いたデジタル美容医療(デジタル補綴治療)のネットワークを初構築。

・平成28年:医療法人社団デジタルデンティストリー 入職
・平成29年:カリフォルニア州立大学ロサンゼルス校 Academy of Orofacial Myofunctional Therapy 修了
・平成30年9月:K Braces矯正歯科原宿駅前 院長就任
・令和4年11月:日本成人矯正歯科学会認定申請の資格取得
・米国アライン・テクノロジー社認定:インビザライン専門ドクター
・デンツプライシロナ社認定:SureSmile Advance/Orhto/Aligner 認定クリニック院長
・アラガン社認定:VST(Very Sophisticated Treatment)施注資格ドクター

◆所属学会
・日本矯正歯科学会 正会員
・日本成人矯正歯科学会 正会員
・日本舌側矯正歯科学会 正会員
・日本審美歯科学会 正会員
・日本レーザー歯学会 正会員
・日本歯周病学会 正会員

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近年、「最短3〜6ヶ月」「30万円以下」などの言葉が目立つ、格安矯正のプロモーションが、SNSやネット広告などでも目立つようになりました。本来であれば100万円程度の治療費が必要である矯正治療において、こういった格安矯正の広告にある言葉に、大きな魅力を感じる方も多いかと思います。

しかし、これらの安価な矯正治療は、果たして本当に安心して治療できるレベルの内容が保証されているのでしょうか?

そこで今回は、格安矯正の実態について矯正専門医が切り込み、「格安矯正のリスクや注意点」、「格安矯正を選んだ場合に起こりうる落とし穴」などについて、詳しく解説していきたいと思います。

格安矯正の落とし穴とは?

格安矯正は「ローコスト矯正」とも呼ばれ、その名の通り相場よりも大幅に安く、さらに治療期間が短いことを売りにしている矯正治療です。

では、この格安矯正にどのような落とし穴があるのか、その原因と併せて掘り下げていきたいと思います。

落とし穴1.そもそも完治しない治療プランが多い

矯正用マウスピースを持つ女性

格安矯正治療では、歯並びを完全に治療することが難しい治療内容である「部分矯正」で売り出されていることが多々あります

完治が難しい原因の1つは、格安矯正の大きな売りでもある、設定された治療費用と治療期間が、ほとんどの歯並びに対し治療計画として無理があるためです。

もちろん、中には低価格短期間の治療、つまりは部分矯正と呼ばれる限定的な治療が適している歯並びもありますが、これは歯列に軽度の凹凸があるなど一握りの症例です。部分矯正は、特定の歯や歯列の一部のみに焦点を当てた治療であり、無理に行うと歯列や噛み合わせのバランスが崩れてしまうため、実際には適応症例はあまりありません。

しかし、格安矯正の多くは、この部分的な矯正治療を提供しているため、本来治したいと思っている症状が治らなかった、などのトラブルが起きやすいのです。

無理な治療計画による中途半端な治療が行われ、「歯並びが完全に治っていない状態で治療が終わってしまった」、「治療後に奥歯の噛み合わせが変になったといったケースも少なくありません

このような事態を避けるためには、まず治療プランの詳細をよく理解し、それがご自身の治療目標と一致しているかを確認することが重要となります。

落とし穴2.基本料金以外の追加オプションが必要

家計簿をつける女性

一部の格安矯正治療では、基本的な治療費を安価に設定している一方で、歯並びを改善する上で欠かせない治療内容や、アフターケアを追加オプションにしている場合があります

つまり、一見すると治療費が安価に見えるものの、実際には追加のオプションやサービスが必要であるため、費用が増加して結果的には通常と変わらない程度の治療費となることがあるのです。

例えば、基本的な治療費は格安であるものの、補助的な治療オプション(例:リテーナー、マウスピースの追加作成など)が別料金となり、最終的な費用が高額になるというケースです。これは、治療中や治療終了後に追加料金が発生し、最終的に想定外の治療費を負担することの原因にもなります。

よって、矯正治療では初期の見積もりだけでなく、追加のオプションやサービスの料金、治療終了までに予想される追加料金などを含めた総費用をよく理解し、納得のいく治療プランを選択することも大切です。

落とし穴3.コスト削減・効率化による質の低下

治療を受ける女性患者

格安矯正治療を提供するクリニックの中には、経営や業務を効率化させ、治療の質や効果を二の次にすることで低価格の治療を実現していることも少なくありません

要するに、治療に対して人件費や材料費をかけず、さらに効率化することでコストを削減し、それによって低価格を提供できる一方、治療の質や患者さまのニーズには焦点が置かれていない可能性があるのです。

また、歯科矯正におけるコストの削減は、実際に治療計画を立案し、治療を担当するドクターの技術にも直結することがあります。

矯正治療が高額な理由は、「保険が効かない自費治療であり、治療に使用する器具や材料のコストが高いから」ということもありますが、中でも大きな要因の一つは、適切な治療には専門的な技術や知識、経験のあるドクターが必要であるためです。

しかし、格安矯正治療では人件費のコストを削減するために、キャリアが浅く技術や知識が不足しているドクターが治療を担当することも珍しくはありません。特に、格安のマウスピース矯正などは、治療のプランニングなどを矯正専門医でない一般歯科医でも取り扱えるように汎用化されており、マニュアル化されているケースが多々あります。

そのため、技術や知識が乏しいドクターでも、最低限の治療が可能であるものの、トラブル時の対応や全体的な治療方針に関して、矯正専門のドクターと比較すると大きな差が生じます

矯正治療は法律上、歯科医師であれば誰でも行えるものの、専門的な技術や知識を身につけていないドクターが安易に治療計画の立案、治療を進行することは非常に危険です。

例えば、歯の移動が上手くいかずに治療効果が得られないケース、矯正力をかけすぎて歯根吸収が生じてしまうケースなど、初期の治療費を抑えられたとしても、トラブルが起きてリカバリーが必要になった時、結局は通常の治療と同等の、もしくはそれ以上の金額を要するリスクも考えられます。

安さを売りにしている格安矯正では、品質や安全性が損なわれるリスクは免れないため、治療を提供する医師や施設の信頼性や専門性を確認し、適切な治療を受けるための情報を入手することが重要です。

こんな広告の謳い文句には要注意!

スマホを使いながら考える女性

最短3〜6ヶ月で治療

このような短期間の矯正治療は、前歯を対象とした部分矯正の治療プランであることがほとんどです。部分矯正は、推奨される歯並び自体が大幅に限られるため、歯並びにお悩みのある方の多くは、この部分的な矯正治療方法が推奨されていません。

過去に矯正治療をした後、少しだけ前歯に凹凸ができた、などの場合にはこのような治療でも問題はありませんが、全体矯正が必要とされる出っ歯や八重歯、口ゴボなど多くの不正咬合は、歯列全体のバランスを整えながら歯を動かす必要があるため、このような治療を受けても、数ヶ月で治療を終えることはほぼ不可能といえるでしょう。

20〜30万円で矯正

低価格帯の矯正治療では、上項でお話ししたような部分矯正の治療プランが提供されています。そのほとんどがマウスピース矯正ですが、多くはマウスピースの枚数が決められたパッケージになっており、その枚数内で終わらない場合には追加の費用が必要になります。

つまり、部分矯正の適応である軽度歯列不正以外の症例では、広告にあるような低価格で治療が終わることは、ほぼないといって良いでしょう。よって、大半の患者さまはこういった格安の矯正治療を受けたとしても、雪だるま式に治療費が増える、もしくは不完全な状態で治療が終わってしまいやすいとされています。

治療前には必ず、自分の気になっている症状が治せるプランなのか、追加費用が必要な場合はいくらかかるのかを、しっかりと確認しましょう。

来院不要の矯正治療

矯正治療では、たとえ通院頻度が少ないマウスピース矯正においても、一定の頻度で来院が必要です。これは、装置に問題がないか、歯にトラブルは起きていないか、治療計画通りに歯が動いているかを確認するためです。

治療期間が長くなりやすい矯正治療では、来院が不要であるという点が非常に大きなメリットに思えるかもしれませんが、担当医による指導や治療中のモニタリングができないことから、治療に関するトラブルが起こりやすいのが現状です。

中には、歯科医師を介さず、分析や診断のない危険な治療システムが導入されているケースもありますので、必ず矯正歯科に精通した歯科医師、並びに歯科衛生士による検診があるクリニックを選ぶようにしましょう

治療に満足できなかったら?

泣いている女性

限定的な部分矯正が治療プランとして提供されることの多い格安矯正は、一部の軽度な歯列不正を除き、ほとんどの症例においては不適応です。そのため、追加の治療に高額な費用を請求された、治療が終わったのに悩んでいた症状が治らなかったなど、満足のいかない状態で治療が終わってしまうケースも多いでしょう。

しかし、そのまま同じクリニックで治療を続行しても、患者さまのお悩みが解決する可能性は低いと言えます。

よって、満足のいかない状態で治療が終わってしまった場合には、同じ場所で治療を続けるのではなく、格安ではない通常の矯正歯科へ一度ご相談してみることをおすすめいたします

矯正歯科を選ぶ際には、以下のポイントが重要です。カウンセリングは、当院のように費用の発生しない無料カウンセリング、より詳細な治療方針をお伝えできる有料カウンセリングと2つのプランから選べることもありますので、ニーズに合わせたカウンセリングを選択しましょう。

  • 矯正専門の歯科医院である
  • 格安の治療を売りにしていない
  • 矯正治療に精通したドクターが常勤している
  • マウスピースだけでなく、ワイヤーにも対応している

矯正歯科の選び方については、過去の記事も参考にしてみてください。

まとめ「安さの裏には必ずリスクがあります」

財布を持つ女性

格安矯正治療は、その安価な治療費や短い治療期間が大きな売りであり、そのワードに惹かれる方も多いかと思います。しかし、格安の裏には今回ご紹介した様々なリスクや落とし穴が潜んでいます

よって、矯正治療を受ける際には治療費用だけでなく、治療の質や効果、担当医の技術や知識レベルなどを慎重に考慮し、自身の健康や安全を最優先にした選択をすることが非常に重要です。信頼できるドクターや歯科医院を選択することで、患者さまにとって満足度が高く、かつ安全な矯正治療を受けられることにつながるでしょう。

K Braces矯正歯科では、患者さま一人ひとりのニーズとご要望に合わせた治療プランをご提案し、精密なプランニングと効率的な治療の進行が可能な、3Dデジタル矯正システムを活用した矯正治療を行っています。

格安矯正で満足ができなかった方、歯並びに問題が生じてしまった方の治療にも対応しておりますので、まずはお気軽にカウンセリングにてご相談ください。

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