「歯並びは治したいけど、目立つ矯正装置は嫌だ」
矯正を考えている方の多くが、このようなお悩みを持っているのではないでしょうか。
矯正器具のイメージといえば、以前はギラギラと目立つ金属の装置でしたが、近年では治療法や装置の進化によって、周囲に気づかれないほどの目立ちにくい矯正治療法が広く使われています。
今回は、目立たない方法で矯正をしたいと検討中の方におすすめしたい、3つの治療法とそれぞれのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。
裏側矯正(舌側矯正・フルリンガル)
目立ちにくさ:★★★★★
裏側矯正(フルリンガル)は、上下ともにブラケット及びワイヤーを歯の裏側に装着して歯を動かしていく治療法です。
歯の内側が見えるほど大きく口を開けない限り、矯正器具が見えることはありませんので、治療中であっても見た目の変化がありません。
裏側矯正のメリット
虫歯になりにくい
「裏側に装置がついていると食べ物が挟まりやすく、表側矯正よりも虫歯になりやすいのでは?」と思われる方も多いのではないでしょうか?
実は、裏側矯正は矯正治療法の中でも、特に虫歯になりにくいというメリットがあります。これは、分泌された唾液が食べかすやプラークなどを洗い流す「自浄作用」が歯の裏側ではより効果的に働くためです。 また、唾液は虫歯菌の酸によって溶けた歯を修復する「再石灰化作用」や、お口の中の細菌が増殖するのを防ぐ「抗菌作用」を有していることから、唾液が流れやすい裏側矯正では虫歯になりにくいとされています。
見た目を気にせずに矯正できる
白いブラケットやワイヤー、透明なマウスピース装置など、目立ちにくい矯正治療の中でも外側から装置が見えないのは、上下ともに装置が内側につく「裏側矯正のみ」です。普通に過ごしている限りは、職場や学校でも気が付かれることがないため、治療中も装置を気にせず日常生活を送ることができます。
ただ、治療中に噛み合わせを改善するゴム掛け(顎間ゴム)をする場合には、犬歯や奥歯の表面に小さく透明なボタンを装着することもあります。
矯正治療中にオフィスホワイトニングが可能
ホワイトニングは、歯のトーンアップが可能な審美歯科治療です。その中でも、歯科医院内で行うホワイトニングを「オフィスホワイトニング」といいます。
オフィスホワイトニングは、薬剤を歯の表面に塗布し、専用の光を当てることで薬剤に含まれる成分を活性化させ、歯を白くするホワイトニング方法です。自宅でカスタムトレーを使うホームホワイトニングと比べ、使用する薬剤の濃度が高いことから効果が現れやすいといった特徴があります。
表側矯正ではブラケットが、マウスピース矯正ではアタッチメントが、薬剤を塗布する歯の表面に付いているため、治療中はオフィスホワイトニングをすることができません。一方、歯の裏側に装置がある裏側矯正では、矯正治療中でもオフィスホワイトニングの施術を受けることが可能です。 ただし、歯並びによっては部分的に、歯の表側に補助的な装置が付くケースもありますので、「裏側矯正治療中にホワイトニングがしたい」という方は、装置が付く前に担当医と相談して予め時期を決めておくと良いでしょう。
裏側矯正のデメリット
治療費が高額になりやすい
裏側矯正は、歯列矯正の中でも最も費用の高い治療法です。この費用の高さには、裏側矯正に使用されるブラケットが高価であることや、ブラケットの装着時に使用するカスタムメイドトレーのオーダーが必要になることが大きく影響しています。 また、難易度の高い上下裏側の矯正治療に対応している医院は少なく、治療においては高度な技術が必要になることも相まって、治療費が高くなる傾向にあるのです。
装置に慣れるまで時間がかかる
どんな矯正治療でも矯正器具を装着した際には違和感が生じますが、上の歯のみならず下の歯の裏側にもブラケットが付く裏側矯正は、慣れるまでに時間がかかりやすいとされています。特に発音が難しかったり、装置が舌に当たって口内炎ができたりすることも珍しくないため、治療を初めて間もない頃は大変だったと振り返る方もいらっしゃいます。
難症例では追加の装置が必要になることも
歯の裏側矯正に限らず、歯並びをスムーズに治すためには、場合によっては補助的な装置が必要となります。例えば、奥歯の移動量が大きい場合や、ひどく位置がズレている歯がある場合などです。
このような場合には、ゴム掛けのためのボタンや、表側のブラケットなど、部分的に追加の装置を歯の表側に装着しなければいけないことがあります。
矯正装置の種類にかかわらず、治療計画によってはこのような補助的な装置が必要になる場合がありますが、見える位置に装置が付かないと思われがちな裏側矯正では特に注意が必要です。
裏側矯正はこんな方におすすめです
- 仕事柄、人前に立つ機会が多い
- 他の治療法より費用が高くなっても問題ない
- 周囲にバレない方法で矯正治療をしたい
ハーフリンガル
目立ちにくさ:★★★☆☆
ハーフリンガルは、歯列の半分だけを裏側(リンガル)にする治療法です。上の歯は見えやすいので裏側矯正に、下の歯は見えにくいので表側矯正にすることで、目立ちにくい矯正治療が可能になります。ハーフリンガルは表側・裏側矯正のメリットとデメリットを併せ持ち、目立ちにくさと機能性のバランスが取れた矯正方法と言えます。
ハーフリンガルのメリット
費用を抑えることができる
ハーフリンガルは半分を表側矯正で行うことから、目立ちにくいながらも上下裏側のフルリンガルと比べて、低い費用で矯正治療を受けることができます。
ハーフリンガルとフルリンガルは相場で20〜30万円ほどの違いがあるため、できる限り費用を抑えつつ、目立ちにくい治療を受けたい方におすすめです。
上下表側と比べると目立ちにくい
ハーフリンガル矯正は、喋っている時や笑った時、よく見える上の歯を裏側矯正にすることで、表側からはほとんど目立ちません。そのため、矯正中でも自然な笑顔をキープすることができます。
ハーフリンガルのデメリット
下の歯が見えやすい方には不向き
普段、歯を見せて笑ったり普通におしゃべりをしたりしている時、下の歯がよく見える方の場合、表側の装置がしばしば見えてしまうことから、ハーフリンガルのメリットである「目立ちにくさ」があまり活かされません。
このようにハーフリンガルでの治療は、「装置が見えるのは避けたいが、日常生活において下の歯が見えやすい」という方には不向きという一面もあります。
表側矯正よりも割高になる
半分が表側矯正であることから、フルリンガルよりも費用が安くなるハーフリンガルですが、その一方で表側矯正よりも治療費が高くなるといったデメリットがあります。
ハーフリンガルはフルリンガル同様、ブラケットの価格に加え、独自の治療技術が必要であるため、どの医院でも治療費が高く設定されているのです。
ハーフリンガル矯正はこんな方におすすめです
- 目立ちにくい治療法で、少しでも費用を抑えて矯正したい
- 取り外し式のマウスピース矯正に抵抗がある
マウスピース矯正
目立ちにくさ:★★★★☆
矯正専門のクリニックだけでなく、多くの歯科医院で取り扱っているのがマウスピース矯正です。ワイヤーが必要なく、取り外しができる透明なマウスピースを用いるこの矯正方法は、比較的新しい治療法でありながらも現在では広く普及しています。
マウスピース矯正のメリット
取り外しが可能である
裏側矯正、ハーフリンガルと比べた時の決定的な差は、装置の取り外しが可能である点です。食事や歯磨きの際にマウスピースを外せることから、治療前と同じように好きなものを食べたり、歯みがきやフロスを簡単に行うことができます。
装置の違和感が少ない
薄く、異物感の少ないマウスピース矯正は、治療開始時の違和感が少ない点もメリットです。
ただし、発音時にマウスピースの縁に舌が当たることで滑舌が悪くなりやすいため、慣れるまでは喋りにくいことも多々あります。
マウスピース矯正のデメリット
装着時間・交換の自己管理が必須
手軽に始められるイメージのあるマウスピース矯正ですが、実は矯正治療の中でも患者さんにとって最も手間がかかる治療法でもあります。
理由としては、1日22時間の装着、及びマウスピース交換の日数厳守などの自己管理が必要であり、メリットである筈の取り外しが、かえってデメリットとなることがあるためです。ライフスタイルや性格によっては、つけっぱなしで治療が可能なワイヤー矯正の方が向いている方も多くいらっしゃいます。
白い突起が目立ちやすい
透明なマウスピースを使用するのだから、1番目立たない治療法なのでは?と思われがちなマウスピース矯正。しかし、あまり知られていないデメリットに「アタッチメントが目立ちやすい」というものがあります。
アタッチメントとは歯の表面に装着する、歯と似た色をした白い突起で、マウスピースのフィット性を向上させ、歯の動きを確実にするための非常に重要な存在です。サイズは小さいものの、前歯につくことも多いため、光の当たり方や角度によっては若干凸凹が目立つことがあります。
また、アタッチメントの材料であるレジンと呼ばれるプラスチックは、吸水性を持つことから飲食物による着色が起こりやすいため、時間が経つにつれてアタッチメントが変色してしまうということも起こり得るのです。
治療期間が長くなることある
マウスピース矯正は、途中でマウスピースの装着を中断したり、装着時間が不足したりすると、矯正の効果が低下して治療期間が長くなることがあります。
そのため、治療期間をできるだけ短くしたい方にとっては、必ずしもマウスピース矯正が最適な治療法であるとは言い切れません。
マウスピース矯正はこんな方におすすめです
- 矯正治療中の自己管理に自信がある
- 重度の金属アレルギーを持っている
歯を抜いた場所は目立つ?
歯が前に突出しており、歯並びを全体的に下げるべき症例では、歯を抜く「抜歯矯正」が推奨されます。抜歯矯正では、基本的には前から数えて4番目、または5番目の歯を抜去しますが、抜いてからその分のスペースがある程度閉じるまでは、笑った時にぽっかりと空いた隙間が目立ちやすくなってしまいます。
このような場合、裏側矯正、およびハーフリンガル矯正では、隙間が閉じるまでの期間中、歯のダミー(仮歯)を装着し、抜いたスペースを目立ちにくくすることも可能です。 抜歯矯正で隙間を気にされる方は、この点も治療前に確認した方が良いかもしれません。
まとめ「目立たないから隠さなくていいんです」
矯正治療において、見た目の変化は大きな問題のひとつです。矯正装置は歯並びや噛み合わせを整えるためにも必要不可欠ですが、治療中の見た目が気になってしまう方も数多くいらっしゃいます。しかし、治療法や装置の素材によっては、周囲にバレることなく治療を進められる可能性もあります。
K Brace矯正歯科は、デザインに富んだカラフルなゴムを使用する当院独自の「kawaii矯正®︎」のほか、今回ご紹介した「裏側矯正」や「ハーフリンガル矯正」、「マウスピース矯正」などの目立ちにくい矯正装置に対応している、矯正治療専門のクリニックです。
患者さん一人ひとりの歯並び、希望に合わせて、これらの幅広い治療法の中から最適な矯正プランを提案いたします。 初診カウンセリングでは、実際に使用する装置を確認し、治療のイメージをより細かく具体化することが可能です。歯並びや噛み合わせでお悩みの方、矯正器具について迷われている方は、お気軽にカウンセリングをご利用ください。